「日本の芸術って、欧米と比べると全くだめだよねー。」ときどきこんな話になることがあります。アートの環境が整っていないということなのですが、具体的に何がだめなのでしょうか?
日本の文化庁のwebで芸術に関する予算を調べてみました。すると、1980年の約400億円から順調に伸び続けています。バブル経済崩壊後の経済停滞に関わらず、予算は伸び続け、1992年と比べても約2倍になっています。2002年度の予算は900億円を超えています。
結構がんばってるんじゃない?と思いますね。
次に欧米4カ国との比較を見てみます。
比較をする国はフランス、イギリス、ドイツ、アメリカです。

(文化庁のwebデータよりグラフを作成)
日本の予算はフランスの1/3弱、イギリスの約半分、ドイツと同レベルということがわかりました。
結局、この20年間日本の予算は増え続けているものの、
ヨーロッパの国と比べると決して多くないということがわかります。
ちなみにイギリスにおいては政府の予算のほかに宝くじの収益の約40パーセントが加算されます。すると、フランスとだいたい同じ規模になります。(グラフのエンジの部分がそれに該当)
ドイツは政府予算は日本と同じ規模のものの、地方自治体が独自に予算を持っていて、その規模は約1兆円ということです。(文化庁)
1つ気になるのがアメリカ。
政府の予算は、日本より少ないです。
たった1/8よ。
でも、アメリカって、戦後のアートを牽引している国の一つです。
どうして、こんなに少ない予算でやっていけているのでしょうか?
答えは、米国政府の芸術支援の方針の違いのようです。
つまり、ヨーロッパは直接支援型で、政府が多額の予算を組んで支援します。
それに対して、アメリカは間接支援型で、税制優遇措置など、法律によって、民間から寄付をしやすくしたり、アート団体は非課税にして運営を手助けしているのです。(NHKのwebより)
実際にこの税制の違いはどれくらいインパクトがあるものなのでしょうか?
NHKのwebに答えがありました。

(NHKのwebよりグラフを作成)
アメリカの寄付金額の全体(アートに限らず)は25兆円以上。
それに対し日本は約5000億円です。
これ、単純に比較すると、アメリカの寄付金は日本の50倍以上なんです。
(値が英国ポンドなので多少わかりにくいですが、寄付金の総額の違いは見てすぐわかると思います)
寄付金25兆円のうち、アートへの寄付は5.8パーセント(NHKのwebによる)ですから、ざっと1.5兆円。
なかなかナイスな金額ですねー。
こういう分析をしてみますと、確かに、日本のアート支援はどっちつかずかなという感じがします。
直接支援としての予算はもしかすると、
900億円レベルから大きく増加させる必要は無いかもしれない。
そのかわり、日本も、税制優遇措置などの間接支援を充実させる方針をとるとアートをめぐる環境が大きく変わってくるかもしれないんです。
予算はあるだけはうまくいきません。
痒いところに手が届いてこそ効力を発揮します。(ベタな言い方ですが)
すると、間接支援を充実させ、NPO(非営利団体)などの専門団体などにもどんどん任せていくという米国がとっている方針は、アートを活性化する1つ方法として役立つかもしれません。
しかし、現在日本のNPOに寄付をしても、寄付をした個人や法人は税控除などの恩恵をアメリカのようには受けることが出来ません。それでは、寄付する側にとってはインセンティブになりません。
例外として、認定NPOに寄付した場合は、税控除の対象になるようです。しかし問題は、「認定NPO」という言葉が耳慣れないものであるように、認定NPOになるためのハードルが非常に高く数が極端に少ないことなんです。